チャプター 146

ヘンリーは、ソフィアがこんなふうに泣くのを見たことがなかった。取り返しのつかない何かを失ったかのように、涙が頬をとめどなく伝い落ちていく。階段室の壁に背を預けて嗚咽する彼女の姿を見て、彼の胸の奥が、これまで知らなかったかたちでざわめいた。

ヘンリーは人を慰めるのが致命的に下手だった。ソフィアの気を紛らわせようと冗談のひとつも言うべきだと分かっていても、頭の中は真っ白になる。できることといえば、細い肩をそっと掴み、指先でぎこちなく小さな円を描くことだけだった。薄い唇を何度も結び直し、言葉を探しても、うまく見つからない。

ウォール街で毒舌と機転で名を馳せるヘンリー・ハーディングが、突然、言葉を...

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